安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】

今回からは、「自筆証書遺言保管制度」について、紹介いたします。

「自筆証書遺言保管制度」は、
自筆証書遺言書を法務局が預かり、その原本及び画像データを保管してくれる制度です(※原本:遺言者死亡後50年間保管。画像データ:遺言者死亡後150年間保管)。
令和2年7月から新たに始まりました。
「自筆証書遺言」のデメリットを軽減しつつ、「公正証書遺言」のメリットも一部併せ持つ内容となっています。

<「自筆証書遺言保管制度」のメリット>

①遺言の形式ルールのチェックを受けられる。
遺言書の保管を法務局に申請する際、法務局の職員が遺言の形式ルールが守られているかをチェックする(本文の自署・署名押印の有無・日付の記載など)。もし誤りがあった場合は、その場で指摘してもらうことができ、遺言を訂正することできる。

②法務局での保管により、遺言の偽造や紛失などを防ぐ。
遺言書を法務局に保管してもらうことで、自宅での保管だと懸念される遺言書の偽造や紛失などを防ぐことができる。

③死亡時に遺言の存在が相続人等に通知される。
法務局が遺言者の死亡を確認した場合、遺言書が法務局に保管されていることを保管申請時に指定した相続人等に通知する。その通知により、遺言の存在が明らかにされるため、遺言書が相続人等に発見されないリスクを回避することができる。

④遺言の検認が必要ない。
家庭裁判所の検認を受けることなく速やかに相続手続きを開始できる。

⑤遺言書の保管手数料は一律3,900円。
遺言書の枚数や財産額などによって手数料は変わらない。また、保管後に何もしなければ、追加の費用は発生しない。
※公正証書遺言に比べると、かかる費用はとても安い。

ただし、デメリットとされる部分もあります。
<自筆証書遺言保管制度のデメリット>

①内容については確認してもらえない。
法務局の窓口では、遺言の形式ルールのチェックのみを行うため、遺言の内容に問題がないかどうかは、士業などの専門家に相談しておく必要がある。

②本人が法務局に行かなければならない。
法務局での申請手続きは、必ず遺言者本人がしなければならない。体調が悪いなどの理由でも、家族や士業などの専門家等の代理人に手続きを依頼することはできない。

③遺言書の様式等に定めがある。
保管制度を利用するには、用紙などの定められた様式により、遺言書を作成しなければならない。

④遺言書の原本は返還されない。
遺言者が亡くなった後に相続人等が行うのは、「遺言書情報証明書の交付請求」(遺言書の画像情報が印刷されて渡される)のため、遺言書の原本は返還されない。もし、こだわりを持った用紙で遺言書を作成したとしても、相続人等の手元には渡らない。

以上が、「自筆証書遺言保管制度」のメリットとデメリットです。
次回は、私の実体験をもとに、
この保管制度の利用の流れについて、紹介いたします。
引き続き、お役に立てば幸いです。

※過去記事はこちら
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】

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