今月27日から「相続土地国庫帰属制度」がスタート【生前整理で知っておきたいこと】

令和5年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」がスタートします。

以前より、
遠くに住んでいるため利用する予定がない、管理の負担が大きい、などといった理由により、
相続等で取得した土地を手放したいというニーズが多々ありました。

そのような土地が管理されないまま放置されることで、
「所有者不明土地」となっているケースを全国至る所でよく見かけます。

そうならないようにすることを目的に、
相続等により土地を取得した人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度(「相続土地国庫帰属制度」)が設けられました。

今回は、この制度の概要を紹介いたします。

1.申請ができる人
・相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した人(※売買等により土地を取得した人は対象外)
・相続等により、土地の共有持分を取得した共有者は、共有者の全員が共同して申請を行うことにより、本制度を活用することができます。
・土地の共有持分を相続等以外の原因により取得した共有者(例:売買により共有持分を取得した共有者)がいる場合であっても、相続等により共有持分を取得した共有者がいるときは、共有者の全員が共同して申請を行うことにより、本制度を活用することができます。
※制度開始前に取得した土地も対象となります。

2.相談先・承認申請先
<相談先>
原則として、対象となる土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局(※遠方などの場合は、電話や他の法務局・地方法務局でも相談が可能)。
また、所有者の家族や親族による相談も可能です。
ただし、事前予約制となっており、相談時間は1回の予約で30分です。

<承認申請先>
対象となる土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局。
来庁による窓口申請、郵送申請のいずれも可。ただ、窓口申請の場合には、できるだけ事前に連絡をしてほしいとのこと。

3.本制度が利用できない土地
<申請することができないケース>
・建物がある土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地
・他人の利用が予定されている土地
・土壌汚染されている土地
・境界が明らかでない土地、所有権の存否や範囲について争いがある土地

<申請があっても不承認となるケース>
・一定の勾配や高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
・土地の管理や処分を阻害する有体物が地上にある土地
・土地の管理や処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理や処分ができない土地
・その他、通常の管理や処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
※また、現地調査に同行を求められた際に、正当な理由なくこれを拒否した場合も不承認となります。

4.費用
承認申請時に審査手数料
国庫への帰属の承認が得られた場合には負担金
がそれぞれ必要です。

<審査手数料>
土地1筆当たり14,000円。
※承認申請を取り下げた場合や、承認申請が却下・不承認となった場合でも返還はされません。

<負担金>
概ね10年分の標準的な管理に要する費用。
※具体的には、土地1筆につき20万円が基本とされていますが、その利用形態(宅地・農地・森林)により、一定の算式により算定される金額となります。

※制度について、詳しくはこちら
≪相続土地国庫帰属制度について≫(法務省)

相続になる予定の土地について、
その扱いについて悩むことはよくあるケースです。
その悩みの種が大きくならないよう、
前もって自分のすべての土地の現状を把握しておき、
今後の扱いについて、元気なうちに家族等と話し合うなどしておくことはとても大切です。
その際に、この新しい制度の活用も選択肢のひとつとして考えましょう。

土地についてのこれからを決めておくことも、大事な【生前整理】のひとつです。

◎生前整理をするのに、自分ではどうしたらよいのかわからない時は、
生前整理のプロの専門家である【生前整理診断士】をお頼りください。
お話をしっかりと伺い、そのお気持ちに寄り添い、親身にサポートいたします。
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隣地から伸びた枝はどうする?【生前整理でしておくこと】

民放の改正により、令和5年4月1日から、
隣地に越境した枝の切除に関する新しいルールが適用されます。

※記事はこちら
4月からルール変更、隣地から伸びた枝は「自分で切って」OKに?《楽待新聞》

自分が現在所有しているもの、または、いずれ相続するかもしれない土地や家屋が、後々、空き地や空き家となってしまい、
その敷地内の樹木が隣地に伸びてトラブルになるケースは全国どこでもよく聞く話です。

そのようなトラブルなどを未然に防ぐため、
不動産の処分や樹木の剪定・伐採・伐根など、何かしら対策を行っておくことは、
大事な【生前整理】のひとつです。

◎生前整理をするのに、自分ではどうしたらよいのかわからない時は、
生前整理のプロの専門家である【生前整理診断士】をお頼りください。
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「自分の葬式」から考える自分の生きたい人生【今から始めよう!生前整理】

『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)という本があります。
現在、世界で4000万部以上のベストセラーとなっている本です。
この本の中で紹介されている成功者に共通の「7つの習慣」のうちのひとつとして取り上げられているのが、
「目的を持って始める」ということです。

その例として、
「自分の葬式から考えること」を紹介しています。

「自分の人生をいかに生きるべきか?」
「自分の人生において重要と思うものは何なのか?」
「これをいかに実現して自分のなりたい人生を生きるか?」

そして、これらを考える一番の方法は、
「自分の葬式はこうあってほしい」
ということを思い浮かべてみることだと述べています。

自分の葬式を考えること(プランニングしてみること)は、
大事な生前整理のひとつでもあります。

試しに、自分の葬式を思い浮かべてみてください。
・どのような形式の葬式か?(場所、演出、雰囲気など)
・誰に参列してほしいのか?(家族?仲の良い友人?近所の人?仕事関係者?)
・自分はどんな人だったと紹介されているのか?
・参列者は自分のことをどう偲んでくれるのか?
・弔辞ではどんな内容のことが語られているのか?
など

これらのことを考えてみて思い浮かんだことが、
自分自身の生きたい人生であり、価値観などを決めるものとなります。
それらが明確になれば、
そうあるために次に自分がどうすればよいかなどを考えることができ、
そうすれば自ずと、今の自分自身が生きたい人生や価値観などが決まってくるということです。

是非、一度だけしかない自分の生きたい人生を見つけるために、
前向きな気持ちで、自分の葬式を考えてみていただければと願っています。

◎生前整理をするのに、自分ではどうしたらよいのかわからない時は、
生前整理のプロの専門家である【生前整理診断士】をお頼りください。
お話をしっかりと伺い、そのお気持ちに寄り添い、親身にサポートいたします。
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「署名証明」って何?【生前整理で知っておきたいこと】

相続手続きにおいて、印鑑証明書の提出が必要になる場合があります。
ただし、相続人が、日本での住民登録を抹消して外国に住んでいる方の場合、印鑑登録も抹消されてしまっている状態です。
わざわざ日本に戻ってきて、印鑑登録し直すことなどで対応することはすごく難しいです。
こういった場合は、「署名証明」で対応することができます。

「署名証明」とは、
日本に住民登録をしていない海外在留者に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして発給されるもので、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前で行われたことを証明するものです。
日本の在外公館で手続きを行うもので、「サイン証明」とも呼ばれます。
なお、署名(及び拇印)は領事の面前で行う必要があるので、事前に署名等をして持参しないように注意しましょう。

※「署名証明」の例
遺産分割協議書を郵送で送ってもらった海外の相続人が自ら公館に出向き、領事の面前でその遺産分割協議書に署名をすることで、その署名が間違いないものであると証明される。

ただし、「署名証明」という方法があるとはいえ、
日本国内でのやりとり以上に、時間や郵送代などの負担が大きくかかることになります。
こうしたケースを避けたい場合は、前もって生前に対策をしておくことが重要です(※遺言執行者を決めておけば、遺言執行者の実印・印鑑証明書で対応可能になる など)。

これも大切な生前整理のひとつです。

◎生前整理をするのに、自分ではどうしたらよいのかわからない時は、
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介護保険制度による住宅改修等 立替払いが不要な自治体もあるのでご確認を

介護保険制度では、住宅改修や福祉用具を購入する場合、
申請者が一旦費用の全額を立替払いし、後日、自己負担割合分(1割~3割)を除いた分を、自治体(保険者)が保険給付費として申請者に返金する「償還払い」が原則ですが、
自治体によっては、最初から自己負担分のみの支払いで済む「受領委任払い」を導入しているところもあります。

特に、住宅改修などになると、立替払いとはいえ、一時的に大きな負担がかかります。
しかし、「受領委任払い」であれば、最初から自己負担分のみの支払いで済むので、大いに助かることになります。

介護保険制度による住宅改修等を行う際は、
その自治体の制度が「償還払い」なのか、「受領委任払い」なのか、
前もって確認しておくことが大切です。

※記事より
介護保険で住宅改修費の立て替え払い 自己負担分のみの自治体も(毎日新聞)
介護保険住宅改修利用者の立替払い不要化をめざして=総務省中部管区行政評価局(時事通信)

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お話をしっかりと伺い、そのお気持ちに寄り添い、親身にサポートいたします。
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生前整理とプロレス【人生を自分らしく生きる生き活への思い】

先日、ある記事が目に留まりました。
それは、プロレスラー 土井成樹選手についての記事でした。

現在、プロレス界で大活躍の土井成樹選手。
人気・実力ともに抜群のスター選手です。

その土井選手は、昨年9月に長年所属した「ドラゴンゲート」という団体を退団してフリーに転向。
今では他の団体にも参戦し、活躍の場をさらに広げて、プロレスを盛り上げています。

記事によると、土井選手がフリーになることを考えたきっかけは、プロレスのキャリアで後悔を残さないためだったということでした。

「この数年間、フリー転向については考えていた。いつ引退になるかわからないけど、引退後、客観的にプロレスを見た時に“この選手と戦っておけばよかった”など対戦する可能性がないような選手と戦えばよかったと後悔したくなかった」
とのこと。

「(フリーになって)活動範囲が広がった分、自由になったのが変わった点。このキャリアで保証がないリスクを覚悟したうえで攻めたから、今はフリーライフを楽しんでいる。あとは、20代に資格を取得していたパーソナルトレーナーもしたかった」
と、フリー転向後の心境も語っていました。

観る者にたくさんの勇気と励ましと感動を与えてくれるプロレスラーの方たち。
ただ、肉体を日々酷使するため、いくらケアをしても、次第に満身創痍となっていきます。
また、怪我などのアクシデントが原因で、突然プロレスができなくなり、引退するケースも多くあります。

だからこそ、時間のある限り、後悔を残さず、自分のやりたいことにどんどんチャレンジしていく活力が漲っているのだとあらためて思いました。

これからの人生を今まで以上に自分らしく、より良いものにしていこうとすることは誰もができることです。
ただ、新しいことを始めることへの不安やこれまでの人生におけるつながりが切れるかもしれないことへの恐れなどにより、
中々、その一歩を踏み出すことができないこともあります。

そのような場合は、【生前整理】をすることが解決のきっかけになります。
【生前整理】は、ただ単にお片づけをすることではないし、「終活」のイメージのような「死に支度」という意味でするものでもありません。

【生前整理】は、
「物」と一緒に、自分の「心」と「情報」を整理していくことで、
これまでの自分の人生を見つめ直すとともに、自分がこれから何を大切にして、自分らしくどう生きていくか…今後の人生を今まで以上により良いものとする方向に導くためのものです。年齢とかも関係ありません。

人生を自分らしく悔いなく生きたいと望んでらっしゃる方は、
是非、【生前整理】をきっかけに、
自分が主役の「生き活」人生を走り始めていただきたいと願っております。

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安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?⑤【生前整理の大切な意思表示】

前回に引き続き、今回も「自筆証書遺言保管制度」の利用についての紹介です。
今回は、遺言書の保管完了後に遺言者ができる手続きと、
遺言者が亡くなった後(相続開始後)に相続人等ができる手続きについて、
簡単に紹介いたします。
※「自筆証書遺言保管制度」…自筆証書遺言書を法務局が預かり、その原本及び画像データを保管してくれる制度。

<遺言者ができる手続き>

①遺言書の閲覧(モニター/原本)の請求
遺言者は、自分が預けている遺言書の内容を確認したいとき、その遺言書の閲覧をすることができます。
※原本の閲覧は、原本を保管している法務局でしかできませんが、モニターによる閲覧は、遺言書が保管できる全国の法務局で可能です。
※遺言者の生前に、遺言者本人以外の方が閲覧することはできません。

②遺言書の保管の申請の撤回
遺言者は、預けた遺言書を返還してもらうことができます。
※遺言書の保管の申請の撤回ができるのは、遺言者本人のみです。

③変更の届出
遺言書を預けた時点以降の遺言者自身の住所・氏名その他の変更は、法務局に届け出なければなりません。
※遺言者本人以外に、遺言者の親権者や成年後見人等の法定代理人も届出を行うことができます。
※変更の届出は、遺言書が保管できる全国の法務局で可能です。また、郵送で行うこともできます。

<遺言者が亡くなった後(相続開始後)に相続人等ができる手続き>

①遺言書保管事実証明書の交付の請求
自身を相続人等とする遺言書が、法務局へ預けられているかどうかを確認することができます。

②遺言書情報証明書の交付の請求
相続人等が、自身に関係する遺言書の内容の証明書を取得することができます。
なお、この証明書には、遺言書の画像情報が全て印刷されており、遺言書の内容を確認することができます(遺言書原本の代わりとして、各種手続に使用するものにもなります)。
※相続人等の誰かが、遺言書情報証明書の交付を受けると、法務局がその人以外の全ての相続人等に対し、遺言書を保管している旨を通知します。

③遺言書の閲覧(モニター/原本)の請求
相続人等は、遺言書の内容の確認のため、遺言書を閲覧することができます。
※相続人等の誰かが、遺言書の閲覧を行うと、法務局がその人以外の全ての相続人等に対し、遺言書を保管している旨を通知します。

今回まで、「自筆証書遺言保管制度」について紹介してきました。
自分の遺言書を安心して残したい、望む相続を実現したい方などにとって、
安全性や費用面などから見ても、充分に活用できる制度です。
私自身もこの制度を利用することで、相続のことでやっておきたい生前整理をひとつ実現することができました。
おかげで、心もスッキリです。

これまでの記事が参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

※過去記事はこちら
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?③【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?④【生前整理の大切な意思表示】

◎自分ではどうしたらよいのかわからない時は、
生前整理のプロの専門家である【生前整理診断士】をお頼りください。
お話をしっかりと伺い、そのお気持ちに寄り添い、親身にサポートいたします。
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安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?④【生前整理の大切な意思表示】

前回に引き続き、自分の実体験をもとに
「自筆証書遺言保管制度」の利用の流れについて、紹介いたします。
※「自筆証書遺言保管制度」…自筆証書遺言書を法務局が預かり、その原本及び画像データを保管してくれる制度。

今回は、遺言書の保管の申請の手続きについてです。
※遺言書の保管の申請を行うことができるのは、遺言者本人のみです(代理人や郵送による申請はできません)。また、一度保管した遺言書は、「保管の申請の撤回」をしない限り、返却されません。

①保管の申請をする法務局を決める。
※保管の申請先は、
・遺言者の住所地を管轄する法務局
・遺言者の本籍地を管轄する法務局
・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局
の3つのいずれかの中から選んで行うことができます。
ただし、2通目以降、追加で保管の申請をする場合は、最初に保管の申請をした法務局にしか行うことができません。

②遺言書の保管申請書を作成する。
窓口に申請する際に、その場で作成することもできますが、法務局の対応時間の都合上、前もって、申請書の様式を法務省のホームページからダウンロード(記載例や記載上の注意事項もあり)、もしくは、最寄りの法務局の窓口で入手し、作成しておくほうが望ましいです。

③保管の申請の予約をする。
電話またはホームページから、申請する法務局の窓口の予約を取ることができます(手続には予約が必須です)。

④法務局にて保管の申請をする。
予約した日時に遺言者本人が行かなければなりません。
<申請に必要なもの>
・遺言書(ホチキス止めはせず、バラバラのまま持って行く。封筒も不要)
・遺言書の保管申請書
・住民票の写し等(本籍及び筆頭者の記載入りで、マイナンバーや住民票コードの記載がないもの(※作成後3か月以内のもの))
・顔写真付きの官公署発行の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
・手数料:遺言書1通につき3,900円(手続当日、法務局の担当者の指示があってから、法務局で収入印紙を購入して納めればOK)
※(遺言書を外国語で作成した場合)遺言書の日本語による翻訳文が必要になる。

⑤最後に保管証を受け取る。
手続終了後、その場で「保管証」を受け取ります。
※「保管証」について
保管証には、遺言者の氏名、出生の年月日、手続を行った法務局の名称及び保管番号が記載されている。また、保管番号は、保管した遺言書を特定するための重要な番号で、保管番号が分かると、保管した遺言書の閲覧などの手続や、相続開始後に相続人等が「遺言書情報証明書の交付の請求」を行うときに便利。

◎保管証のイメージ(法務省のホームページより)

以上が、遺言書の保管の申請の手続きです。
手続きに問題等が無ければ、その日に手続きは終わります。

そして、大切なことは、
法務局に遺言書を預けていることを、家族などに伝えるなどしてわかるようにしておくことです。
その方法として、保管証のコピーを渡しておくことや、
保管証の存在を伝えたうえで、エンディングノートや万が一ファイルに保管証の原本を挟んでおくようにしましょう。

次回は、
保管完了後に遺言者ができる手続きと、
遺言者が亡くなった後(相続開始後)に相続人等ができる手続きについて、
簡単に紹介いたします。
引き続き、お役に立てば幸いです。

※過去記事はこちら
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?③【生前整理の大切な意思表示】

◎自分では実際にどうしたらよいのかわからない時は、
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安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?③【生前整理の大切な意思表示】

先日、私自身の遺言書の保管の申請を、管轄の法務局にて実際に行ってきました。
その体験をもとに、
「自筆証書遺言保管制度」の利用の流れについて、紹介いたします。
※「自筆証書遺言保管制度」…自筆証書遺言書を法務局が預かり、その原本及び画像データを保管してくれる制度。

まずは、自筆証書遺言の作成です。
遺言書の作成に当たっては,必ず守らなければならない民法上の要件として、

①財産目録以外は全て自筆で書く(ワープロやパソコンでの作成は無効)。
※財産目録の部分は、ワープロやパソコンを使ったり、通帳のコピーをつけたりしてもOK。その場合は、添付した書面に遺言者の署名押印が必要。

②推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)には、「相続させる」と記載する。
※推定相続人以外の者には、「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載する(推定相続人にも「遺贈する」と記載することは可能)。

③作成した年月日を具体的に記載する(「〇年〇月吉日」などの記載は無効)。

④遺言者の署名と押印が必要(押印は、認印でもOK。ただし、スタンプ印は避けること)。

⑤内容の訂正がある場合は、その場所が分かるように明示して、変更・追加の旨を付記して署名し、変更した場所に押印をする必要がある(二重線だけの訂正は無効)。

加えて、この保管制度において守らなければならない要件もあります。

⑥遺言者の氏名は、住民票や戸籍の記載どおりに記載する(申請時に提出する添付資料等で,申請人である遺言者本人の氏名を確認するため)。

⑦用紙について
・A4サイズのみ
・書いた文字が読みづらくなるような模様や彩色等がないもの(一般的な罫線は問題なし)。
・必ず最低上部5mm、下部10mm、左20mm,右5mmの余白をそれぞれ確保しなければならない(余白部分には何も書いてはならない)。
※参考:法務省のホームページに掲載されている用紙例(印刷して利用可能)

⑧片面のみに記載する(裏面に何も記載してはならない)。

⑨各ページにページ番号を記載する(※余白部分に書かないこと)。
(例)1/2、2/2(各ページ数/総ページ数)

⑩複数ページある場合でも、ホチキス等で綴じない。
※スキャナで遺言書を読み取るため(封筒も不要)。

⑪筆記具について
長期間の保存のため、消えるインク等は使用せず、ボールペンや万年筆などの消えにくいものを使用する。

以上の要件を守って私が自分で作成した遺言書が、次の通りです。
※誰もが簡単に書くことができる遺言書のケースとして、以前のブログで紹介した例にページ番号を追加したものです(ブログ記事はこちら)。

こうして、自筆証書遺言書が完成したら、法務局に行き、遺言書の保管の申請を行います。

字数が多くなったので、
申請の手続きについては、次回紹介いたします。
引き続き、お役に立てば幸いです。

※過去記事はこちら
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】

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安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】

今回からは、「自筆証書遺言保管制度」について、紹介いたします。

「自筆証書遺言保管制度」は、
自筆証書遺言書を法務局が預かり、その原本及び画像データを保管してくれる制度です(※原本:遺言者死亡後50年間保管。画像データ:遺言者死亡後150年間保管)。
令和2年7月から新たに始まりました。
「自筆証書遺言」のデメリットを軽減しつつ、「公正証書遺言」のメリットも一部併せ持つ内容となっています。

<「自筆証書遺言保管制度」のメリット>

①遺言の形式ルールのチェックを受けられる。
遺言書の保管を法務局に申請する際、法務局の職員が遺言の形式ルールが守られているかをチェックする(本文の自署・署名押印の有無・日付の記載など)。もし誤りがあった場合は、その場で指摘してもらうことができ、遺言を訂正することできる。

②法務局での保管により、遺言の偽造や紛失などを防ぐ。
遺言書を法務局に保管してもらうことで、自宅での保管だと懸念される遺言書の偽造や紛失などを防ぐことができる。

③死亡時に遺言の存在が相続人等に通知される。
法務局が遺言者の死亡を確認した場合、遺言書が法務局に保管されていることを保管申請時に指定した相続人等に通知する。その通知により、遺言の存在が明らかにされるため、遺言書が相続人等に発見されないリスクを回避することができる。

④遺言の検認が必要ない。
家庭裁判所の検認を受けることなく速やかに相続手続きを開始できる。

⑤遺言書の保管手数料は一律3,900円。
遺言書の枚数や財産額などによって手数料は変わらない。また、保管後に何もしなければ、追加の費用は発生しない。
※公正証書遺言に比べると、かかる費用はとても安い。

ただし、デメリットとされる部分もあります。
<自筆証書遺言保管制度のデメリット>

①内容については確認してもらえない。
法務局の窓口では、遺言の形式ルールのチェックのみを行うため、遺言の内容に問題がないかどうかは、士業などの専門家に相談しておく必要がある。

②本人が法務局に行かなければならない。
法務局での申請手続きは、必ず遺言者本人がしなければならない。体調が悪いなどの理由でも、家族や士業などの専門家等の代理人に手続きを依頼することはできない。

③遺言書の様式等に定めがある。
保管制度を利用するには、用紙などの定められた様式により、遺言書を作成しなければならない。

④遺言書の原本は返還されない。
遺言者が亡くなった後に相続人等が行うのは、「遺言書情報証明書の交付請求」(遺言書の画像情報が印刷されて渡される)のため、遺言書の原本は返還されない。もし、こだわりを持った用紙で遺言書を作成したとしても、相続人等の手元には渡らない。

以上が、「自筆証書遺言保管制度」のメリットとデメリットです。
次回は、私の実体験をもとに、
この保管制度の利用の流れについて、紹介いたします。
引き続き、お役に立てば幸いです。

※過去記事はこちら
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】
正しい遺言書の書き方ってどうすればいいの?②【生前整理の大切な意思表示】
安心して遺言書を残すにはどうすればいいの?①【生前整理の大切な意思表示】

◎自分では実際にどうしたらよいのかわからない時は、
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